PCに搭載されたCPU、グラフィックボード、そしてマザーボードがそれぞれ対応している場合、Resizable BARという機能を有効にすることでグラフィクボードのパフォーマンスを向上させることができます。
ただしResizable BARはデフォルトで有効となっているわけではなく、有効にするには少し面倒な設定を行う必要があります。
そこで本ページでは、Resizable BARを有効にする設定方法について解説したいと思います。
Resizable BARとは
Resizable BAR(AMDではSmart Access Memoryと呼ばれる)とは、CPUがグラフィックボード上のビデオメモリ(VRAM)全体にフルアクセスすることができるようにするPCI Expressインターフェース機能です。
Resizable BARを有効にすることでCPUからグラフィックボード上のGPUへの効率的なデータ転送が可能になり、主にゲームでのパフォーマンスが向上するといわれています。
Resizable BARは、以下のハードウェア要件を満たしたPCでのみ有効にすることができます。
- Intel 第10世代Coreプロセッサー以降もしくはAMD Ryzen 5000シリーズ(特定のRyzen 3000シリーズ含む)以降のCPU
- Z490/H470/B460/H410チップセット以降もしくはAMD 500/400チップセット以降のマザーボード
- GeForce RTX 3000シリーズ以降または、AMD Radeon RX 6000 シリーズ以降のグラフィックボード
Resizable BARの設定方法
Resizable BARを有効にするには、UEFI(BIOS)の設定を変更する必要があります。
本ページでは例としてASRock X570 Phantom Gaming 4での設定手順を記載しています。
(マザーボードのメーカーやモデルによって設定項目名が若干異なる場合があります。)
CMSの設定
CMS(Compatibility Support Module)はUEFIに対応していない古いOSや周辺機器との互換性を維持するための設定です。
CMSが有効(Enabled)だとResizable BARを利用できないため、無効(Disabled)に設定します。

CSMの設定
Above 4G Decodingの設定
Above 4G Decodingは4GBを超えるMMIO(Memory Mapped IO)を許可する設定です。
こちらはResizable BARで必須となるので有効(Enabled)に設定します。
※グラフィックボードの他にもPCIeスロットにデバイスを接続している場合、Above 4G Decodingを有効にするとそのデバイスが動作しなくなる場合があります。
その場合はこちらを無効に設定し、Resizable BARを利用するのは諦めるしかありません。

Above 4Gの設定
Re-Size Bar Supportの設定
ここでResizable BARの設定を行います。
(マザーボードによっては「Clever Access Memory (C.A.M.)」という設定項目になっている場合もあります。)
上記のAbove 4G Decodingを有効にすると、この項目も設定変更できるようになるので有効(Enabled)に設定します。

Re-Size Bar Supportの設定
Resizable BARの設定確認
GeForceのグラフィックボードを使用している場合はWindows上でResizable BARが有効になっているかどうかを確認することができます。
NVIDIAコントロールパネルを開き、左下にある「システム情報」をクリックしてシステム情報ウインドウを表示させます。
「グラフィックスカード情報」の「詳細」にある「リサイズ可能なベース アドレス レジスタ」の項目が「はい」と表示されていれば、Resizable BARが有効となっています。

NVIDIAコントロールパネル
ベンチマーク結果
Resizable BARを有効にすることで実際にゲームのパフォーマンスが向上するのかどうか、FF15ベンチマークを実行して確認してみました。
PCのスペックは、CPU(APU)はAMD Ryzen 7 5700G、グラフィックボードはASUS ROG-STRIX-RTX3060-O12G-V2-GAMING(GeForce RTX 3060)です。
FHD高品質の設定でベンチマークを行ったところ、スコアは9443から9554と、わずか1%ほどの上昇にとどまりました。

FF15ベンチ結果(Resizable BAR無効)

FF15ベンチ結果(Resizable BAR有効)
このように、Resizable BARを有効にしてもごく僅かなパフォーマンス向上しか見られないという、少し期待外れな結果に終わりました。
とはいえ、コストをかけずに多少なりともパフォーマンス向上が期待できることから、もしお使いのPCがハードウェア要件を満たしているのであれば、Resizable BARを有効にしておいて損はないと思います。
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