NVIDIAのグラフィックボードでは、RTX Super Resolution (RTX VSR) を利用することで動画を高画質化することができます。
ただし、WebブラウザでRTX VSRを有効にする設定については、いくつか注意すべき点があります。
そこで本ページでは、WebブラウザでRTX VSRを利用するための設定方法について解説します。
RTX Super Resolutionとは
RTX Super Resolution (RTX VSR) はNVIDIAが開発した高解像度化技術で、NVIDIA製GPUのTensorコアとAI画像処理技術を組み合わせて映像の品質を向上させるものです。
RTX VSRを利用すると、低解像度の映像を最大4K解像度までアップスケーリングすることができます。
(360pから1440pまでの動画をフレームレート144Hzまでサポート)
RTX VSRは対応する動画再生アプリやWebブラウザで利用することができ、Netflix、Twitch、Disney+、ABEMA、YouTubeなどのストリーミングサービスで映像のアップスケーリングを活用することができます。
RTX Super Resolutionを有効にする方法
現時点でのRTX Super Resolution (RTX VSR) の最新バージョンは1.5です。
RTX VSR 1.5を有効にするには、以下の手順で設定を行います。
RTX VSR 1.5対応ドライバーをインストール
RTX VSR 1.5は、NVIDIA GeForce RTX 20シリーズ以降を搭載したグラフィックボードが対応しています。
ただしRTX VSR 1.5を利用するには、GeForce 545.84 Driver以降のグラフィックスドライバが必要です。
グラフィックスドライバのバージョンを確認するには、デスクトップで右クリックし、「NVIDIAコントロールパネル」を開きます。
そしてウインドウ左下にある「システム情報」をクリックするとバージョンが表示されます。
ドライバのバージョンが545.84未満の場合は、新しいドライバをインストールしてください。
NVIDIAの公式ドライバダウンロードページはこちら。
NVIDIAコントロールパネルの設定
Windowsのデスクトップで右クリックし、「NVIDIAコントロールパネル」を開きます。
ウインドウ左側のメニューから「ビデオイメージ設定の調整」を選択します。
ウインドウ右側に表示された「RTXビデオ強調」の項目にある「Super Resolution」にチェックを入れ、「適用」ボタンをクリックします。
なお、その下にある「クオリティ」については、数字が大きくなるほどアップスケーリングの効果が大きくなりますが、同時にグラフィックボードへの負荷も高くなります。
WebブラウザでRTX Super Resolutionを有効にする方法
WebブラウザでRTX VSRがアクティブにならない?
とりあえずここまでの設定でRTX Super Resolution (RTX VSR) は有効になるはずなのですが、試しにWebブラウザを開いてYoutubeの動画を再生してみたところ、私のケースではRTX VSRがアクティブになりませんでした。
そこで色々と調べてみた結果、WebブラウザでRTX VSRがアクティブになるための設定について、いくつかの注意すべきポイントが明らかとなったので以下に記載しておきます。
Google Chromeの設定
Google ChromeでRTX VSRをアクティブにしるための設定は以下の通りです。
- Google Chromeの設定を開き、左側のメニューから「システム」を選択します。
- 右側に表示された「グラフィック アクセラレーションが使用可能な場合は使用する」をオンにします。
- 次に、Google Chromeのアドレスバーに「chrome://flags/」と入力します。
- すると「Experiments」ページが表示されるため、上部の検索ボックスに「Choose ANGLE graphics backend」と入力します。
- 右側のドロップダウンリストから「D3D11」を選択し、ウインドウを閉じます。
※ここで「D3D11」以外を選択すると、RTX VSRがアクティブになりません!
私がYoutubeの動画を再生してもRTX VSRがアクティブにならなかったのはこの設定で「D3D9」を選択していたのが原因でした。
では、なぜ「D3D9」を選択していたのかというと、NVIDIAのグラフィックボードで発生するChromeやEdgeに市松模様が表示される不具合を回避するためこちらの設定を行っていたためです。
なおこちらの不具合に関してですが、Windows11では2024年5月にWindows Updateに配信されたKB5037853にて修正されたようです。
(Windows10については未定)
Microsoft Edgeの設定
Microsoft EdgeでRTX VSRをアクティブにするための設定は以下の通りです。
- Microsoft Edgeの設定を開き、左側のメニューから「システムとパフォーマンス」を選択します。
- 右側に表示された「使用可能な場合はグラフィックス アクセラレータを使用する」をオンにします。
- 次に、Google Chromeのアドレスバーに「edge://flags/」と入力します。
- すると「試験段階の機能」ページが表示されるため、上部の検索ボックスに「Choose ANGLE graphics backend」と入力します。
- 右側のドロップダウンリストから「D3D11」を選択します。
※ここで「D3D11」以外を選択すると、RTX VSRがアクティブになりません! - 続いて、上部の検索ボックスに「Microsoft Video Super Resolution」と入力します。
- 右側のドロップダウンリストから「Didabled」を選択し、ウインドウを閉じます。
※ここで「Didabled」以外を選択すると、RTX VSRがアクティブになりません!
(DefaultでもNG)
RTX Super Resolutionの動作確認
ここまでの設定を終えたら、実際にWebブラウザで動画を再生し、RTX VSRがアクティブになるか動作確認を行います。
- まずはWebブラウザでYoutubeなどへ移動し、お使いのディスプレイがサポートする解像度より低いサイズで動画を再生します。
(例えばFHDディスプレイの場合は720pなど1080p未満のサイズを指定) - 「NVIDIAコントロールパネル」を開き、ウインドウ左側のメニューから「ビデオイメージ設定の調整」を選択します。
- 「NVIDIAコントロールパネル」のウインドウは開いたままの状態で、Webブラウザで再生中の動画を全画面表示します。
- [Windows]+[tab]キーを押し、現在開いているウィンドウの一覧をサムネイル表示します。
- その中に表示された「NVIDIAコントロールパネル」のウインドウで、「Super Resolution」の下にあるステータス表示が「ステータス:非アクティブ」から「ステータス:アクティブ」に変わっているどうか確認します。
(下の画像は左側のWebブラウザに何も表示されていませんが、1440pディスプレイでABEMAの1080p動画を再生しています。)
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